祝!『まちづくり道場へようこそ』増刷決定!

学芸出版社ので本書の編集を担当してくださった知念靖弘さんから、増刷になります、との嬉しいご連絡をいただきました。といっても初版が2500部そして1000部の増刷、ということですから、いわゆるベストセラーものとはまるでケタが違いますが。しかし、こういうまじめ本では、快挙といって良いそうで、ありがたいことです。正直に言いますと、もちろん文章は小生が書いたのですが、本の全体構成やアイディアについては、知念さんに全面的にご指導していただきました。ここのところずっと自費出版に近いかたちでやってきて、自分で自分の文章がハナについていたということもあり、古くさい人間であることを自覚して、変身をはかってみようと試みて成功したのだと感謝いたしております。
また、明治学院大学の服部先生が書評を書いてくださいました。学芸出版社のホームページから勝手に転記させていただきます。

読者レビュー

--------------------------------------------------------------------------------
まちづくり、という内容は分かりやすいようでいて分かりにくい。それは、ある人にとっては道路をつくり、川を真っ直ぐにすること、臭いものに蓋をするかの如く小川を暗渠化することを指す。はたまた、自動車も通れないような小路に人々が溢れかえっている駅前商店街を、自動車が通れるように道路を押し広げ、高層マンションが建てられるように区画を長方形に整理する事業をまちづくりという人もいる。
  然らば、まちづくり道場の主である片寄先生にとってのまちづくりとは、人づくりである。まちとは人によってつくられ、人によって営まれるものである。まちをつくるには、まず、そこで生活、活動する人をつくることなのだ、と片寄先生は言う。そう言われるとそうか、と思うのだが、人を押しのけ、人が憩っていた空間を壊して、自動車のための道路をつくることをまちづくりだと考えていた人々にとっては、これはちょっとした驚きであろう。
  本書は、片寄先生のまちづくり術を理解できるように編集された指南書である。そこには、まちづくりを成功させるための鍵になる戦術が満載されている。まちは人に愛されなくてはならない。人が関与しないまちが愛されるはずがない。それには人づくりである。そして、人との関係性、ネットワークをつくりあげていき、その先に愛されるまちが見えてくる。まちが道路や小洒落たファサードによってつくられるのではなく、人と人とが共生して生活するという関係性によってつくられていることを理解している片寄先生だからこその、温もりあるまちづくりエッセンスにこの本は溢れている。そして、それは商店街が衰退し、地域風土が喪失し、地域コミュニティが弱体化し、開発至上主義が迷走している現在の日本にとって、まさに必要とされる知恵である。経済効率、経営効率といった指標に振り回され、真の豊かさとは何かを見失ってしまっている今だからこそ、人を常に中心においた片寄先生のまちづくりの理念を我々は真摯に傾聴すべきである。ようこそ、片寄まちづくり道場へ。

(明治学院大学経済学部助教授/服部圭郎)



担当編集者より

--------------------------------------------------------------------------------
「パッとしないまちこそおもしろい」と著者は言います。そこに、何もないことを「発見」したうえで、逆に、このまちをどうすれば魅力的にできるだろうかと考えながら角度を変えて眺めていくと、急にまちが輝き始めるというのです。
  ものごとを柔軟に捉えながら、発想の転換を常に意識し、そしてポジティヴな姿勢で取り組んでいく。そのような態度で突き進んでいく本書は、とってもカッコいいものに仕上がっています。

(C)
 

by honmachilabo | 2006-05-12 06:29  

<< 公園緑地のマネジメント 「日本文化の空間学・随所楽座」... >>