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ターシャの庭と赤毛のアンの島

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初夏のほんの一週間の慌ただしい旅でしたが、かねて機会をねらっていた念願の地を、思い切ってツアーに参加して訪問してきました。(ここは特別なツアーでないと、なかなか行けない場所なのです。)さて、現地をこの目で見てはじめて理解できたことがあります。これらの地は、決してそれほど美しい光景に恵まれていたというわけではなかったのです。いわばどこにでもある何の変哲も無いとされてきた地に、想像力と行動力豊かな女性がたった一人出現し、その地を舞台にさまざまな物語を創作して世界に向けて発信したというわけです。そしてその物語があまりにもすばらしかったので、やがてその周辺もふくめた一帯が、あたかも夢の場所であるようなイメージが世界に広がったのです。いまや訪れる人はひきもきらず、彼らはその地に刻み込まれた物語にあらためて魅了され、さらには生きる希望まで与えられる。もし彼女たちが現れなかったら、日本ほどではないにしても、やはり過疎の悩みを抱く寂寥感ただよう地のままであったのではないかしら、というのが率直な印象でした。シマおこし、ムラおこし、まちづくりの原点は豊かな想像力にある!ということを改めて「発見」させていただいた、いい旅でした。ターシャの庭は撮影禁止で、入り口で全員カメラを預ける仕組みでしたが、スケッチはどうですかと伺うと快くオーケーをいただき、これは嬉しかったし、トクをしたような気持ちになりました。
なかなかお得なツアーで、あの「サウンド・オブ・ミュージック」のモデルであるトラップ・ファミリーが経営するロッジにまで足をのばしてくれて、高原の空気を吸いました。この場所も、彼らが開発し、彼らの数奇な人生とその努力の物語に惹かれて続々と人々が訪れるようになったとのことでした。
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by honmachilabo | 2009-06-23 02:20  

フツーのまちの魅力

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子どもの頃の思い出だが、あるとき映画のロケがあって、休み時間にスターが物陰で昼の弁当を食べているのをみつけた。「あ、スターもメシを食うんだ!」この「大発見」に興奮して友達に声をかけたら、彼も興奮して、みんなに声をかけて大勢で見物した。スターだって人間なのである。フツーにめしを食って何が悪いと気がついたのは、大人になってからである。
 町並み保存の運動に首を突っ込んだころから、妙にこの後味の悪い思い出がよみがえってきた。わたし自身は幼少の頃から三十代の前半まで奈良市のまちなかに住んでいたのだが、その頃「奈良町」などと呼んだ記憶が無い。このあたり一帯に秘められていた魅力に気づいた知恵者が、押し寄せる「開発」という名の破壊に抗するためには、その存在を際立たせる必要があると考えて新しいネーミングをしたのではなかったか。結果として保存再生運動の成果があがり今日の隆盛をもたらしたのだから、その仕掛けまことに見事であったとは思うが、自分の記憶ではもともとこのあたりは「フツーのまち」であった。
 なぜ、かくも多くの人々がぞろぞろと奈良町かいわいにやって来られるのかを考えてみると、もはやわが国では「フツーのまち」こそが絶滅危惧種なのだ。「このまちに戻ってくるとホッとします」というリピーターの声が良く紹介されているが、奈良町観光のお客さまたちのお目当てはいったい何なのだろう。そこで営まれている人々のフツーの暮らしを見たいというのが主たる目的ではないと思うのだが、狭い路地をそぞろ歩くわけだから、どうしても「見えて」しまうし、見ると結構いろいろ新鮮な発見がある。「あ、奈良町の人もメシを食うんだ!」
 奈良町かいわいの最大の魅力は「大人のまち」の風格にあると思う。ある日突然観光地に仕立て上げられ、スターの座についてしまった居心地の悪さを乗り越えて、庚申さんを守って悠然と日常の暮らしを営む地域の人々に心からの敬意を表したい。このまちを訪れる人やコトをおこす人々は、つねに節度をもって地域に接する、大人の作法をきちんと身につけなければならないと思う。これまで世界に例の無い新しいタイプの観光まちづくりである。わがNMCがその推進役になることができれば素晴らしいのだが。(社団法人奈良まちづくりセンター発行「町家くん通信」2009.5投稿)

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by honmachilabo | 2009-06-02 10:10