毎日新聞11月6日『研究室訪ね歩き』に登場!

関西学院大学総合政策学部・ほんまちラボ
和気あいあいとした雰囲気だった関西学院大「ほんまちラボ」のミーティング風景。右奥が片寄教授(片寄教授提供)

「地域に飛び出す」精神
 商店街内の研究室(ラボ)で学生と住民らが「まちづくり」―。片寄俊秀教授(68)が97年6月、兵庫県三田市の本町センター街に設けた「ほんまちラボ」は、まちづくりの先進拠点として各地の活動に刺激を与えた名物研究室だ。
 ラボは通り沿い、築約200年の空き家を借り受けて開業。町内での定期的な産直市、美術展などの多彩なイベントを続々と企画・産直市、美術展などの多彩なイベントを続々と企画・発信し、「下からの中心市街地活性化」の先行例となった。年15人ほどの片寄ゼミの学生らは、三田を中心とした地域研究の調査拠点としてラボに入り浸った。
 地域づくりを仕事にしたOBもいる。美大で建築を勉強し、99年から2年間、関学大学院で学んだ綱本武雄さん(30)は「美大の建築は現代風の『とんがった』設計が主流。飽き足らずにいたら勉強会で先生に会い、街並み全体の保存を考える手法に共鳴した」。
 a0064392_749756.jpg同じ時期に学部生だった若狭健作さん(28)は、教授とドイツ・ルール地方の産業遺産を視察し、卒論は三田ではなく「木造工場など県内の産業遺産がテーマ」。2人はいま同県尼崎市のコンサルタント会社で机を並べ、各地のまちづくりの立案・設計に没頭している。
 01~02年度の高田幸治さん(28)も、阪神大震災を契機にした水道街商店街(神戸市灘区)などの「まちづくり協議会」でラボでの勉強を生かす。3人の生き方は片寄教授と「ほんまちラボ」抜きでは考えにくいという。
 今春、関学を定年で辞めた片寄教授は4月、大阪人間科学大(大阪府摂津市)の特任教授に転じ、地域交流事業として大学が進める地元商店街での「ラボ」設立に参画。同時に、NPO法人「ほんまちラボ・まちづくり道場」を主宰し、全国各地の地域振興・再生運動に招かれるなど席の温まる暇がない。一方で、三田のラボは、学部の長谷川計二教授らがゼミを開いたり、地元との交流拠点として活用するなどの形で引き継いだ。地域に飛び出す研究室という「ほんまちラボ」の精神と方向は、変わらずに尊重されている。
 ただ、片寄教授も気になることがある。「市町村合併で多くの自治体が『支所』化した。支所長は本庁から異動し、多くは地元事情に詳しくない。議員も減った。各地でまちづくりに励む方々に新たな苦労が加わりました」(高田茂弘)
メモ:三田・本町センター街 城下町であった三田旧市街地の商店街の一つ。武庫川の南側、神戸電鉄三田本町駅から北西に延びている。JR三田駅からは徒歩7分。街道沿いの街として江戸期から栄えたが、近年は地方都市の多くの商店街と同様、空き店舗が目立っている。

by honmachilabo | 2006-11-09 07:50 | 最新情報  

<< 毎日新聞記事 すばらしかった研究セミナー:ひ... >>